解説
ボツリヌス菌は、偏性嫌気性グラム陽性の芽胞形成菌で、食中毒の原因となる。ボツリヌス菌は、缶詰、ハム、ソーセージ、スモークサーモン、加熱済みの保存食品などの症例が多い。
ボツリヌス菌の潜伏期間は、一般的に4?36時間と早めである。
ボツリヌス菌の特徴として、最も重要なのはボツリヌス毒素という神経毒素を産生することである。この毒素は、タンパク質を切断する酵素であり、アセチルコリンの放出を阻害することによって、筋肉の収縮を妨げる。そのため、食中毒の症状としては、四肢の麻痺や呼吸困難、眼瞼下垂など神経障害があげられる。
また、ボツリヌス菌は芽胞を作るため、120℃4分間以上の加熱をしなければ完全に死滅しないといわれている。したがって、食品を適切に調理・保存することが重要である。